卒論 Tips9 プロの論文を見よう
プロの論文とは?
たいそうなタイトルであるが、卒論にプロフェッショナルがいるのだろうか?と言われると、いるわけがない。
よって、これぞ卒業論文といった事例を紹介するのではないことを最初に断っておきたい。
小難しい学者の高尚な論文を紹介したのでは、あまり参考にならないかもしれない。
これから社会に出るであろう君たちにとって少しでも参考になるように、どちらかというと、ビジネスの世界で通用するものを紹介しよう。
ここで紹介するのは、中央官庁の一つである貿易経済協力局が主幹となり取りまとめた論文である。
だが、実際の調査・執筆は外資系民間企業に委託して行われたものである。
つまり、早い話、通産省が、我々の税金を使い、委託して作成したものである(だから、是非、活用してみよう。なお、勝手な推測であるが、一千万円以上のコストがかかっていると思われる)。
まず、じっくり見て頂きたい。
論文を見終えたら、次はプロのレポート内容の分解と、そのレベル感について一緒に考えてみよう。
プロの論文の感想・評価
内容はどうだっただろうか?
卒業論文のような論文形式ではなく、プレゼン資料の体裁だったかと思う。
プレゼンテーション資料のイメージであるので、直接的には論文スタイルの参考にはならないだろう。
だが、卒業研究をまとめるにあたり、以下のような観点で見てみると、非常に参考になると思う。
- 設定テーマに対する仮説構築力
- 緻密なデータ収集に裏付けされた調査力
- 論理的なロジック展開力
- シンプルでわかりやすいプレゼン資料(→発表の際に参考にできる)
だが、皆さんはどのように感じただろうか?
第一印象として、とにかく表現がうまいと感じたのではないか。
わかりにくい内容を容易に表現しようとする創意が凝縮されている。
では、内容的にはどうだろう?“すごいなあ”と思った方もいるかもしれない。
また逆に、“それほどたいしたことないや・・”と思った方もいるだろう。
そうである。それほどたいした事は無いのである。
この手のレポートは、新卒2~3年目のクラスで十分対応できる範囲である。
作成上の方針決定ではもう少し上の層も関与すると思われるが、多くのステップで中心的に動いているのは君らとそんなに変わらない若い人たちである。だから、皆さんもこの程度の論文を書いて当然だと思う。
以上、リサーチやレポートを仕事にしているプロのレベル感を共有・把握して頂けたかと思う。
論点の流れ
中小企業の輸出促進のためにどのような戦略が必要か?
- 現状、中小企業はどんな問題を抱えているか?
- 現状、公的機関は彼らをどのようにサポートしているか?
- 輸出拡大に向けて何が必要か?足りていないか?
- 国内外で上手くいっている中小企業は何をしているか?
- 海外の公的機関では、どんなサポートをしているか?
- 先行事例から輸出拡大の参考になるヒントは何か?
- 具体的な取組み方針案は・・・
なお参考になりそうな中央官庁が委託したレポートの一覧が以下に掲載してあり、リンクがあるので各レポートを閲覧する事が出来る。
参考になるところがあれば是非参考にしてみよう。