【人文学系】
分野 | 論文タイトル名 | 大学・専攻 |
---|---|---|
国文・日本文学 | 村上春樹論 | 学習院 |
芥川竜之介作『舞踏会』論 | 私立-長野県 | |
エンターテイメントとしての大衆文学 | 早稲田 | |
太宰治「女生徒」 | 愛知淑徳 | |
深沢七郎『楢山節考』作品論 | 私立-北海道 | |
交際~用法の限定課程を見る~ | 私立-大阪府 | |
小泉八雲の女性観 | 私立-岡山県 | |
小泉八雲の生涯とその考察 | 国公立-茨城県 | |
大川周明論 | 信州 | |
かげろう日記研究・道綱母の苦悩と兼家描写の推移 | 私立-愛知県 | |
上田秋成と雨月物語 | 私立-山口県 | |
『枕草子』と「あはれ」 | 立命館 | |
万葉集で見る用語の変遷とその要因 | 私立-香川県 | |
泉鏡花「草迷宮」について | 私立-東京都 | |
川端康成における美学的見地からみた文芸 | 関西学院 | |
有島生馬論 | 私立-北海道 | |
昔話における思春期の主人公たち-グリム童話の場合ー | 私立-東京都 | |
敵討ちの物語 -曾我兄弟の場合- | 愛知淑徳 | |
探偵小説論 ~法月綸太郎と後期クイーン的問題~ | 私立-東京都 | |
源氏物語第一部の構想と成立 | 国立 筑波 | |
玉鬘十帖の有職故実 | 立命館 | |
第一次世界大戦期の日本の論壇におけるドイツ論 | 人文科学 | |
伊勢国におけるええじゃないか | 文学部 | |
聖母像から見るマリア信仰 | 文学部 | |
王権神話について | 文学部 | |
『精神現象学』について | 文学部 | |
教師と子どもをむすび対話 | 文学部 | |
日本某所の民話 | 教育学系 | |
言語文化 | 明石の君の女性像 | 富山 |
若者ことば | 私立-東京都 | |
接触、打撃に関する動詞の統語と意味 | 国公立-茨城県 | |
トンパ文字に関する一考察 | 東京学芸 | |
国語・国字問題としての言文一致 | ||
史学 | 堺町衆と茶の湯の関係 | 私立-東京都 |
解体新書について -蘭学事始をもとに- | 帝京 | |
親族・君臣関係から見た古代日本の外交秩序 | 名古屋 | |
ガイウス=ユリウス=カエサル | 早稲田 | |
上毛民権運動の諸相 | 国公立-埼玉 | |
西欧中世における色彩について~黄色にみる社会 | ||
考現学 | 藤井寺市と修羅 | 京都精華 |
倫理学 | J.S.ミルの自由論研究 | 国公立-京都府 |
哲学 | 現代における宗教の意義~明治期日本の宗教意識の変遷をたどって~ | 哲学科 |
- タイトル
- 村上春樹論
- 分野
- 現代文学
- 概要
- 村上春樹の「ノルウェイの森」を中心にして、彼の処女作「風の歌を聴け」、短編群などとの比較・検討を行っている。またその時代背景、例えば学生運動や当時の性についての考え方という方向からもこの作品を考察した。
- 特徴・オリジナリティ
- 村上春樹に関しての評論本はたくさん出ているが、どうもこじつけや一方的な解釈ばかりがなされているように感じたので、村上春樹自身が運営しているHP、出版されているエッセイ、村上春樹の雑誌インタビューなどを活用して、なるべく春樹の生の声を聞き、それらを基に考察した。時代背景(学生運動や当時の性に関する考え方)といった視点での考察
- 大学・専攻
- 学習院大学 日本語日本文学科
- タイトル
- 芥川竜之介作『舞踏会』論
- 分野
- 現代文学
- 概要
- 一般に知られている『舞踏会』には実はモデルがある。フランスの小説家ピエル・ロチの『秋の日本』の一章、「江戸の舞踏会」がそれである。主人公は17歳の明子という令嬢で、明子の舞踏会デビューを飾った鹿鳴館の舞踏会が舞台である。芥川に原型を提供したこのロチの作品は、明治19年ごろ海軍将校として日本を訪れたロチが、日本政府から招待された鹿鳴館での外交舞踏会の一説を書いたもので、ロチの日本印象記といったものだ。この二つを比較することによって全貌は明らかになる。この作品は「美しい音楽的な短編小説」(三島由紀夫)「代表的な朱雀篇」(中村真一郎)などの評を受け、代表作とも言われている親しみやすさと奥の深さがある。『舞踏会』は「1」「2」から構成されている。「1」は明治19年11月が舞台で明子17歳。「2」は大正7年の秋、明子は49歳のH老婦人として登場する。ここに32年という時間的空間が存在することになる。実は初校と定稿とでは、初出稿発表後に寄せられた批評により落ちが書き換えられている。それぞれの「おち」による明子という女性像は変化した。「二つの舞踏会の比較」と「二つの終わりかた」をより詳しく分析した。
- 特徴・オリジナリティ
- 分析の視点(ただの比較だけに終わらず、初校と定稿がまったく正反対の終わり方になっているところをより詳しく分析した。)論点を4つに絞り、論じたこと(明子という少女が大人になることへの希望と不安、人と人との出会いの美しさと空しさ、現実と切り離されることで純粋な美しさを持つ思い出、知識による解釈の空しさと実人生における実感としての感動の強さ、美しさ。の4つにしぼりこんで論じてみました。)
- 大学・専攻
- 私立-長野県 国文科
- タイトル
- エンターテイメントとしての大衆文学
- 分野
- 近現代文学
- 概要
- 山本周五郎の「樅の木は残った」を中心に大衆文学の果たした役割を論じたもの。
- 特徴・オリジナリティ
- 大衆文学を取り上げること自体が独自である。小説だけでなくにテレビドラマの脚本についても比較検討を行った点。
- 大学・専攻
- 早稲田大学 日本文学専攻
- タイトル
- 太宰治「女生徒」
- 分野
- 近代文学
- 概要
- 太宰治の『女生徒』について、深く読みこみ、細かく段落にわけ、自分なりの<読み>について論じる。とくに主人公の女生徒「私」に見られる、あらゆる二面性について比較追求した。たとえば「主観の目」と「客観の目」について。また少女にありがちな、「ソトガワ(外見)への欲望」と、それではいけないと思うう「ウチガワ(内面)への欲望」について。己をしっかり見つめることを忘れない多感な「私」は、自分自身の矛盾や<意識の流れ>についても自覚し、恥じる。そのような「私」の心の動きに迫って論を進めた。また、太宰のその他の<女性独白体形式>の作品についても、注目し、なぜ太宰はその形式を多用したのか、そのことによって、作品世界にどのような影響があったのか、考察してみた。そして、とくに『きりぎりす』『待つ』をとりあげ、『女生徒』の作品と比較検討してみる。太宰の女性語に対する思いについても考えてみた。
- 特徴・オリジナリティ
- 従来、太宰の、<女性独白体形式>についての論文は、その「形式」のみについて論じられるものが多く、その作品の内容についてまで語られることは少なかった。そこで、作品自体の<読み>という点に焦点をおき、細かい表現に気を配り、しっかりと<読み>こんでいった。
- 大学・専攻
- 愛知淑徳大学 国文学科
- タイトル
- 深沢七郎『楢山節考』作品論
- 分野
- 近代文学
- 概要
- 小説『楢山節考』は昭和31年に第1回中央公論新人賞受賞作として発表され、出版されるとたちまちベストセラーとなった作品である。この作品はすべての読み手に何らかの衝撃を与える作品である。それが素晴らしい感動であるか、ゾッとするような嫌悪感であるか、またはその両方であるか、それは読み手次第であるが、人の心に迫る作品であることに違いはない。食料不足ゆえに生まれた【楢山まいり】の風習は、もちろん現在は存在しない。けれど【楢山=死】は、いつの時代でも、誰もが直面しなければならない運命である。小説『楢山節考』における、主人公おりんの姿はまさしく、「いかにして【楢山】に登るか」という永遠のテーマに対する、ひとつの理想の姿である。
- 特徴・オリジナリティ
- 『楢山節考』の本当の魅力について深く考察した(『楢山節考』というと、「年老いた親を山に捨てる、残酷で恐ろしい話」というイメージで知られているが、実はそれだけではない。主人公の老婆おりんの健気に【楢山様】を信じる強さ・美しさ、息子夫婦との愛情に満ちた関係。姥捨てという風習の【闇のような暗さ】と、ラストの雪に象徴される【美】。その両者の絶妙な対比が、小説楢山節考』の魅力なのである。)
- 大学・専攻
- 私立-北海道 国文学科
- タイトル
- 交際~用法の限定課程を見る~
- 分野
- 近世文学
- 概要
- 森鴎外の「舞姫」にでてくる言葉(漢語)について、明治期の言葉の変化について考察する。”交際”という言葉は、古代から現代まで意味の変容はみられないが、用いられる範囲の変容は確認することができる。意味としては「まじわり」というただ一言であらわすことができる。初出は古代中国の『孟子』で、日本では『往生要集』など。江戸時代にいたるまで、用例は漢文においてのみで、”交際”が和文で登場するのは明治になってからである。明治においては、「国と国」「人と人」「男と女」など、さまざまな間柄でつかわれている。現代では”交際”と聞くと男女交際をさす場合が多い。
- 特徴・オリジナリティ
- ”交際”という言葉に着目して言葉の変容について考察した点。森鴎外の「舞姫」を題材にしつつも、その作品内部のことには全くふれず、明治期の言葉の変容を見るための一つの手段として扱ったところ。
- 大学・専攻
- 私立-大阪府 国文学科
- タイトル
- 小泉八雲の女性観
- 分野
- 文学
- 概要
- 小泉八雲の女性観を生い立ちや彼の作品から推察していく。彼は日本に昔から語りつがれている怪談を書いたことで有名であるが、彼の作品に出てくる女性はいつも決まって「やさしい、美しい、もの静かな」である。そこには彼の求める理想の女性像が描かれているように思える。彼の生い立ちから探っていくと、彼と深く関わってきた女性、母親に彼は強い思慕の念を持っていたことがわかる。彼の作品には常に彼の母親を求める姿が投影されているように感じられるのである。
- 特徴・オリジナリティ
- 作品や生い立ちから女性観を推察するというテーマ、手法。現在彼の「小泉八雲博物館」の館長でもあり、彼の曾孫にあたる「小泉凡」氏にお会いし、色々な生の話を収集した。
- 大学・専攻
- 私立-岡山県 家政学科
- タイトル
- 小泉八雲の生涯とその考察
- 分野
- 白樺派
- 概要
- 小泉八雲の生涯を通して、その流浪の人生と彼の次々に移りつづけた世界各地の観光状況について分析
- 特徴・オリジナリティ
- 観光学と国際観光学、さらに国文学的なものまで包括的に考察を進めていったこと。
- 大学・専攻
- 国公立-茨城県 国際関係学系
- タイトル
- 大川周明論
- 分野
- 近現代史
- 概要
- 大川周明の思想と行動について、資料をもとに解明しようとしたもの。
- 特徴・オリジナリティ
- 資料をもとに、その思想内容を分野別に類型化しその相互関連性についても考察した。
- 大学・専攻
- 信州大学 日本史科
- タイトル
- かげろう日記研究・道綱母の苦悩と兼家描写の推移
- 分野
- <平安朝日記文学/dd>
- 概要
- 道綱母は、夫兼家との結婚生活を日記に残した。彼女が苦しみ、悩んだ末、自分の結婚生活をどのように位置づけていったのか、彼女の兼家描写を通じて考えた。上巻では、兼家は主体的には存在しないが、痛烈に批判することによって、自分の苦悩を消滅させようとした。中巻になると、非日常に目を移すことが多くなり、兼家描写も激しさを失う。そして、下巻になると現実をうけいれた描写へと変わり、自己の内面浄化へとつながっていったのである。
- 特徴・オリジナリティ
- 兼家という男をどの様に描くか、という視点に立って、彼女の内面の変化の推移を考えた点が特徴。兼家の衣装や振る舞いなど、様々な点から考察した。
- 大学・専攻
- 私立-愛知県 日本文学科
- タイトル
- 上田秋成と雨月物語
- 分野
- 古文
- 概要
- 雨月物語を書くまでの、秋成の生い立ち、影響された人物などに関連させながら、内容の中でも表現力(どうしてその言葉を使ったのか)などを取り上げた。古文の中でも、非常に現代のユーモアに近く、男女の仲がきっかけとなる話が多い分、書きやすいと思ったが、反対につきつめにくかった。かなり教授の手直しが入っての提出となった。
- 特徴・オリジナリティ
- 日本文学部なだけに、パソコン・ワープロは禁止。万年筆で自筆。200枚の原稿用紙を埋めなくてはいけなかったこと、中間発表のための下書きなどもあったので手が疲れてたいへんだった。
- 大学・専攻
- 私立-山口県 日本文学部
- タイトル
- 『枕草子』と「あはれ」
- 分野
- 日本文学専攻・中古(平安時代)文学
- 概要
- 古来『源氏物語』は「あはれ」の文学、『枕草子』は『をかし』の文学と言われ、『枕草子』は一段低い位置に見られがちだった。しかし、作者清少納言には『枕草子』から「あはれ」を意図的に排除しなければならない理由があった。彼女が仕えた中関白家の没落と中宮定子の悲劇である。一条天皇に誰よりも愛され、光り輝いていた定子の栄光を定子の遺児達や世間の人々に伝えるためと、時の権力者道長一派への憚りのため、わざと暗い描写は避け、明るく楽しい文章にしなければならなかった。しかし本文中には隠し切れない作者清少納言の「あはれ」を感じさせる部分が多々存在する。これらから目をそらして本当の『枕草子』解釈は出来ない。
- 特徴・オリジナリティ
- 解釈法自体(清少納言は「あはれ」を前面に押し出さず、「をかし」の世界に生きようとし、「その場限りだから美しい」という耽美性に徹することではかない美しさの中に永遠の価値・真実の美を見出そうとしたのではないか、と主張した。)
- 大学・専攻
- 立命館大学 文学科
- タイトル
- 万葉集で見る用語の変遷とその要因
- 分野
- <国語学/dd>
- 概要
- 語り継がれて来た万葉集。しかし、歌集ごとにその「用語」が異なる詠が存在するのはなぜか?印刷技術のなさから、手書きによる伝承のため、少々の変化はやむをえないかもしれない。また、著作権等という概念のなかった時代。その時代や編纂者の好みや流れ、歴史的背景に左右される事はあったろう。しかし、ガラリと内容の変わるような物が何故存在するのか。国文学的に解明されているのはあるが、国語学的に解明はされていない。変化に法則(音韻変化、語彙変化など)があるのか、それを解明しようと思った。
- 特徴・オリジナリティ
- この問題を、国文学的(感性の変化)という点での研究は多い。しかし、そのような曖昧さではなく、文法・音韻・語彙という点から研究した例はほとんどない、と、教授に驚かれた・・・。用語の変化を認められる詠を全て選び出し、変化の仕方によって、分類・項目分けした。大まかな項目、その下に、小さな項目を設けた。結論は、変化の際には、国文学変化のために、国語学変化が起こったのではないか、という結論。
- 大学・専攻
- 私立-香川県 日本文学科
- タイトル
- 泉鏡花「草迷宮」について
- 分野
- 近代文学
- 概要
- 鏡花の作品は、能の形式を踏んでいるというのが、学会の一般的な論であるが、本当にそうだろうか。ということと、一般的な論としては,主人公の葉越明は、最後は胎内回帰を果たしているというが、そうだろうか。むしろ母よりも魔性の女らしきものを選んだのではないか。ということ。またこの女の正体はいったいなんなのかという事。葉越の主人公らしくない点の追及など。
- 特徴・オリジナリティ
- 能の形式を踏んでいるというのが、学会の一般的な論であるが、本当にそうだろうか。ということと、一般的な論としては,主人公の葉越明は、最後は胎内回帰を果たしているという論に反論し、独自の論を作った点。
- 大学・専攻
- 私立-東京都 国文学科
- タイトル
- 川端康成における美学的見地からみた文芸
- 分野
- 文芸
- 概要
- 川端康成における文芸作品のなかから、雪国、川の音より、美学的見地からその芸術性を検証
- 特徴・オリジナリティ
- 美学的な立場、禅の世界より川端文学を検証した
- 大学・専攻
- 関西学院大学 日本文学科
- タイトル
- 有島生馬論
- 分野
- 白樺派
- 概要
- 有島武郎の弟である画家・有島生馬氏が「白樺」に発表した小説・随筆等についての考察。文学と絵画との関わり等
- 特徴・オリジナリティ
- 有島3兄弟(有島武郎・有島生馬・里見頓)のうち画家として活躍していた生馬氏の文筆活動についての研究はあまりなされていないかったので、生馬氏の文筆活動についての論文は珍しいといわれました。
- 大学・専攻
- 私立-北海道 国文学科
- タイトル
- 昔話における思春期の主人公たち-グリム童話の場合ー
- 分野
- 伝承文学
- 概要
- 本当は残酷であるとか、性的なものであるとか、様々な物議を呼んでいる「昔話」であるが、本当は昔話固有の法則にのっとり、常に人々を魅了する楽しみとして伝えられてきたものである。その真実を分析する。また老若男女が主人公として登場する中でも、その成長という点においてもっとも興味深い思春期にある男女の主人公に焦点を当てて、彼等の成長を追う。最終的な論文の目的としては、現在の思春期の青少年を見つめる上でも共感できる点を明らかにし、グリム童話のすばらしさを再認識することにある。
- 特徴・オリジナリティ
- 第二版のグリム童話を徹底的に読みこみ、思春期の男女が主人公である話を、一話ずつ取り上げている点。また性差がはっきりしてくる思春期ということから、男女別に比較分析している点。
- 大学・専攻
- 私立-東京都 児童文化
- タイトル
- 敵討ちの物語 -曾我兄弟の場合-
- 分野
- 中世文学
- 概要
- 『舞の本』・『曾我物語(流布本)』は、同じ<曾我兄弟の敵討ち>を描いているが、その描き方は大きく異なっている。特に敵討ちについてみていくと、『舞の本』では敵の祐経に対する敵討ちよりも頼朝に対する憎しみが強く描かれている。『舞の本』・『曾我物語(流布本)』それぞれにおいて、登場人物が敵討ちをめぐってどのように考え、どのような行動をとったのかをみていくことで、両者の違いを考えた。
- 特徴・オリジナリティ
- 同じ曾我兄弟の敵討ち事件を題材に取り上げながらも、『舞の本』では敵討ちの理由として貧の問題をとりあげる事で、頼朝を憎いという考えが強くあらわれ、『曾我物語(流布本)』では世の中の動きに影響されて変わっていく人々の考え方や行動をもとにして物語が描かれているという違いがそこにはある。両書における人物の考え方、描写法を追うことで、『舞の本』における「武家社会」・「貧」にまで言及したところが、本論文の最大の特徴だといえる。
- 大学・専攻
- 愛知淑徳大 国文学科
- タイトル
- 探偵小説論 ~法月綸太郎と後期クイーン的問題~
- 分野
- 現代文学
- 概要
- 作家エラリイ・クイーンがぶつかった壁”後期クイーン的問題”を取り扱っております。”後期クイーン的問題”とは、探偵小説空間内における”探偵の存在の根拠の希薄さ”に関する問題です。物語の最後に偉そうに自らの推理を披瀝することに、必然性はあるのか。また、物語内で中立的立場、つまり、”事件の構成要素と足り得ない探偵”などは存在するのか。そのような問題に取り組みました。第1章ではエラリイ・クイーンを中心に述べ、第2章ではクイーンの影響を色濃く受けた日本の探偵小説家、法月綸太郎に焦点を当て、”後期クイーン的問題”を整理し、法月はそのようなスタンスでこの問題に挑んでいるのかを論じました。第3章では、他の日本人作家(現在活躍中)に焦点を当て、彼らがどのようにして”後期クイーン的問題”に取り組んでいるかを論じました。
- 特徴・オリジナリティ
- 特徴は、その長さです。原稿用紙50枚以上という規定でありながら、400枚を書きました。まず、この長さで他を圧倒したと自負しております。とは言っても、本来はそこまで長くなる予定ではなかったのですが、結果として長くなりました(引用部分が多いこともあります)。
- 大学・専攻
- 私立-東京都 国文学科
- タイトル
- 源氏物語第一部の構想と成立
- 分野
- 中古文学
- 概要
- 源氏物語の第一部について、紫上系・玉鬘系という二つの系統の存在から、各巻の成立順序について、呼称・付属語・内容といった観点から検証し、またそこから第一部について作者の構想を考察した。玉鬘系は紫上系より後に、徐々に、あるいは一括して執筆されたと推定される。
- 特徴・オリジナリティ
- 成立論の意義に否定的な、現在の構想論の主流の考え方に疑問を提示。・現存の巻序が作者の意図したものであるという考え方に疑問を提示。・玉鬘系執筆の理由を独自に考察。
- 大学・専攻
- 筑波大学 日本語日本文化学類
- タイトル
- 玉鬘十帖の有職故実
- 分野
- 日本文学専攻・中古(平安時代)文学
- 概要
- 従来「玉鬘十帖」は、六条院の栄華とヒロイン玉鬘の幸福の物語と見なされる感が強く、またそうした面も確かに見受けられるのだが、「玉鬘十帖」は決してそれだけで独立した物語ではない。栄華を誇る六条院世界が、徐々に崩壊してゆく次章への序幕としての役割を担いつつ、また年中行事といった円環的な時間を利用して、その推移を自然且つ効果的になし得ていると言えるのではないか。「男踏歌」「端午節会」という二つの行事に注目して、年中行事が「源氏物語」の構成に必要不可欠な存在であることを探る。
- 特徴・オリジナリティ
- 一条朝には既に廃絶されていた男踏歌を、物語に組み込もうとした作者の意図はどこにあるのか?端午節会という「公式」行事を、「私邸」六条院で催すとはどういうことなのか?年中行事を媒体として、作者が物語にどんな意義を与えようとしたかを探求する。
- 大学・専攻
- 立命館大学 日本文学専攻
- タイトル
- 第一次世界大戦期の日本の論壇におけるドイツ論
- 分野
- 人文科学科
- 概要
- 第一次世界大戦期の雑誌における、「敵国」ドイツに対する言説を研究。特にドイツを賞賛する論(崇独論)の多さに注目。対内プロパガンダ概念の薄さ、対日プロパガンダの柔軟な受容と利用、さらに崇独論への統制が薄かったことから崇独論が存在可能だったこと、さらにはドイツを賞賛したり、欠点を指摘したりすることなどにより、二本論としての役割を果たしていたことを明らかにした。
- 特徴・オリジナリティ
- 先行研究で、ドイツ賞賛論についてはほとんど指摘されていなかった点。
- 大学・専攻
- 人文科学
- タイトル
- 伊勢国におけるええじゃないか
- 分野
- 文化学
- 概要
- 史料をもとに伊勢国域におけるええじゃないかの実態、そしてその取り締まりについてを述べました。あんまたいしたことないです…。
- 特徴・オリジナリティ
- ごめんなさい!ありません!!もしあるとしたら、卒論とは思えないほどの手の抜き具合です(^_^;)
- 大学・専攻
- 文学部
- タイトル
- 聖母像から見るマリア信仰
- 分野
- 地域文化
- 概要
- 12世紀フランスで聖母マリアが王冠を被った像が発生した背景を探る。一次資料として聖母マリアの王冠像を考察し、それをもとに当時の人々がどのように聖母マリアを信仰していたのかを考える。
- 特徴・オリジナリティ
- 聖母マリアの研究は日本でも盛んであるが、聖母と王冠の関係についてはまだあまり研究が進んでいないため、先生から見方が面白いといわれた。
- 大学・専攻
- 文学部
- タイトル
- 王権神話について
- 分野
- 日本文学
- 概要
- 記紀を比較して王権神話のあり方を考える。古事記のスサノヲ神話を中心に、神話的なものの背景を探る。
- 特徴・オリジナリティ
- 記紀を区別し、古事記に絞ったところ。
- 大学・専攻
- 文学部
- タイトル
- 『精神現象学』について
- 分野
- 行動科学
- 概要
- 哲学者ヘーゲルの『精神現象学』において、道徳性がどのように論じられているか。
- 特徴・オリジナリティ
- 分析の手法に特徴がある。
- 大学・専攻
- 文学部
- タイトル
- 教師と子どもをむすび対話
- 分野
- 文学
- 概要
- 教師にとって生徒と交わす対話の必要性について考えた。内容は以下の通り。1,教師にとってなぜ対話が必要とされるのか。2,どのような対話が教育的対話と言えるか。3,現役教師の実践記録から、効果的な対話とは何かを探る。この3点を中心に考え、現役教師の意見と自分の意見をまとめ、今の教育現場に必要とされている言葉や対話の必要性について考察した。
- 特徴・オリジナリティ
- 分析の視点が、まだ教育現場に立っていない者として、教師、保護者、生徒の立場を客観的に述べられたところが、独自性があったと思う。
- 大学・専攻
- 文学部
- タイトル
- 日本某所の民話
- 分野
- 民話
- 概要
- 選んだ場所の地理・歴史、その場所の民話についての考察など。
- 特徴・オリジナリティ
- 取り上げた題材(場所)自体が独特。
- 大学・専攻
- 教育学系
- タイトル
- 明石の君の女性像
- 分野
- 概要
- 明石の君は明石入道と尼君の間の一人娘で、父入道の意思により源氏と結ばれる。そして源氏の娘を産むことによって、その運命が大きく変わる。かう言ふ幸ひ人の腹のきさき后がねこそ、また追ひすがひぬれ。(「少女」二九頁)(注1)このように内大臣と大宮の会話の中で明石の君は「幸せを得た人」と言われており、源氏と結ばれたことによって世間の人から「幸ひ人」と思われていることがわかる。確かに表面的に見ると、身分低い女性が源氏に見初められて、その娘が中宮になるという、いわばシンデレラストーリー的な部分もある。しかし、実際の明石の君の人生を見てみると、三歳の娘と引き離されて、夫の一番愛している女性の養子にされてしまう。以来、娘とは会うことすら出来なくなり、成人して再会できた後も、自分は女房として娘に仕えることになる。娘は実の母親よりも育ての母親である紫の上の方を母親として感謝している。(「若菜上」八十三頁・「若菜下」一五九頁)最後まで、実母である明石の君は女房として一歩引いて自分を卑下し続けた。その様な生き方をしている明石の君は、果たして幸せなのか、疑問を抱き、明石の君の生き方に興味をもった。明石の君の一生を、明石の浦、大堰に住んでいた時代、六条院で明石の姫君が入内するまで、明石の姫君が入内した後に分けて、明石の君の心の変化を追い、その女性像について調べる。
- 特徴・オリジナリティ
- 「明石の君」と言う一人の女性に焦点を当て、その生き方や、考え方を研究した。
- 大学・専攻
- 国立富山大学 言語文化学科
- タイトル
- 若者ことば
- 分野
- 日本語教育・国語学
- 概要
- 10代を中心に、今、ことばはどんどん平板化している。たとえば、「彼氏」。最初にアクセントを置くのが本来のはずだが、若者たちは語尾を平板にして発音する。なぜ、ことばは平板化されてゆくのか、その理由を考察した。また、すべての年代に平板化現象が起きているのかを調査した。また「ドタキャン」は土壇場で約束をキャンセルすることだが、これは若者にしか通用しないことばなのか、それとも他の年代にも通用することばなのかどうか、を考察した。
- 特徴・オリジナリティ
- 10代から50代まで、200人にアンケートを実施した。アンケート内容は、例えば「彼氏」を発音するとき、自分ならどのように発音するかを書いてもらった。また「ドタキャン」「キムタク」「チョムカ」などを挙げ、自分が意味を知っていることばを選んでもらった。この調査によって、単なる流行語なのか定着している語なのかを判断する材料となった。
- 大学・専攻
- 私立-東京都 日本文学科
- タイトル
- 接触、打撃に関する動詞の統語と意味
- 分野
- 言語学、日本語学
- 概要
- 日本語において「継続する働きかけ」というアスペクト特性を表す動詞は、「~をたたく」や「~にさわる」など接触、打撃に関する動詞である。これらはヲ格をとるものとニ格をとるものがある。また、「~を目指す」「~に挑戦する」なども、直接的な接触、打撃を表す動詞ではないがやはり「継続する働きかけ」というアスペクト特性をもっている。これらの動詞もヲ格をとるものとニ格をとるものがある。これらがなぜ異なる格をとるのかを考察したのが、本論文の概要である。
- 特徴・オリジナリティ
- 従来「状態変化動詞」でないもの、としてひとまとめにされていた動詞群に焦点を当て、細分化した点。また、格交替という統語現象がこれらの動詞のアスペクト性や目的語の名詞句などの違いに関わっていることを示した点。
- 大学・専攻
- 国公立-茨城県 日本語
- タイトル
- トンパ文字に関する一考察
- 分野
- アジア研究
- 概要
- 「トンパ文字」とは、本来「ナシ族の中のトンパだけがトンパ教のために使用する文字」である。しかし現在、文字の非宗教的使用側面が増加していることから「宗教文字」という定義を外せる可能性があり、今後は「宗教文字」という定義を外した研究ができるのではなかろうか。したがって、この論文では、現在のトンパ文字使用場面を分類し、なぜ文字の使用場面に変化が現れたのかを分析する。
- 特徴・オリジナリティ
- 「トンパ文字」を視覚的特徴から定義付けした点。①トンパ教とは関係のない使用方法であることや、②トンパ教の規律に反した使用者が存在するという、二点の非「宗教」的要素を除けば、文字に含まれる意味も文字の字体も「トンパ文字」と言える、とした。
- 大学・専攻
- 東京学芸大学 文字学
- タイトル
- 国語・国字問題としての言文一致
- 分野
- アジア研究
- 概要
- 言文一致を国字問題として捉えて資料をあつめたもの
- 特徴・オリジナリティ
- 資料集め。多くの資料を集めた点
- 大学・専攻
- タイトル
- 堺町衆と茶の湯の関係
- 分野
- 文化史、日本中世茶道史
- 概要
- 茶の湯の歴史においては、茶道を確立した千利休が大きなターニングポイントとなっているが、千利休以前には堺の町衆が茶の湯という文化を形成する上で大きな意味をもっていた。勿論利休自身、堺町衆ではあったが、それ以前にも津田宗達・宗及や今井宗久ら有力な堺町衆は、茶の湯の歴史において重要な働きをしていた。それは後に茶湯御政道といわれた茶の湯と政治の結びつきにも深く影響していたといえよう。本論文では、彼らを中心に、千利休以前の茶の湯形成過程と、そこに見られる堺町衆の茶の湯の独自性について考察してみた。
- 特徴・オリジナリティ
- 従来の研究ではあまり見られなかった、津田宗達・宗及や今井宗久の茶の湯について、具体的な茶の湯の姿を考えてみた。
- 大学・専攻
- 私立-東京都 史学科
- タイトル
- 解体新書について -蘭学事始をもとに-
- 分野
- 日本史近世(江戸時代後期)
- 概要
- 解体新書は、日本で初めての医学翻訳解剖書だと言われているが、そうではないらしい。また、解体新書とは「ターヘル・アナトミア」を翻訳したものだと言われているが、この「ターヘル・アナトミア」というのは、正式名称ではないらしい。まずはその2つについて、調べて書いた。あとは、訳者の一人杉田玄白の自伝「蘭学事始」をもとに、解体新書が出来るまでの過程や背景を出来るだけ詳しく書いた。
- 特徴・オリジナリティ
- 杉田玄白の交友関係について興味があり着目した。「解体新書」の訳者の中でも杉田玄白と並んで有名な前野良沢のことや、エレキテルで有名な平賀源内と仲が良かったことなど。
- 大学・専攻
- 帝京大学 史学科
- タイトル
- 親族・君臣関係から見た古代日本の外交秩序
- 分野
- 古代史・対外関係史
- 概要
- 本論文では古代の日本が唐・新羅・渤海とどのような外交関係を志向し、また実際に関係を結んでいたかを考察した。従来の古代対外関係史では西嶋定生氏の「東アジア世界論」に立脚し唐と周辺諸国・特に韓半島諸国との君臣関係を中心に立論し、その縮小版として日本の対外関係を捉える場合が多かった。しかし本論文では君臣関係以外にもう一つの尺度として「親族関係」を用い、「東アジア世界論」では捉えきれなかった「より対等に近い国家間の関係」という視点から日本の対外関係の解明を計った。その結果、明らかになったことは次の通りである。
1:親族関係は国家間の関係と個人間の関係が存在し、国家間の関係は前漢~南宋(提出後周~後金に訂正)まで存続した
2:親族関係は君臣関係とも同居するが、より対等に近い関係の場合に親族関係が付せられる
3:親族関係は父子・舅婿・同族・兄弟・舅甥の5種類が隋唐では存在した
4:前者3親族関係は上下関係を前提としており、後者2親族関係は上下関係を前提としていない
5:日本が新羅に対して父子関係を表明したのは、日本が日羅関係を完全な君臣関係と認識したからである
6:日本が渤海に対して兄弟関係を表明したのは、日本が日渤関係をより対等に近い君臣関係と認識したからである(兄弟・君臣という関係は、東アジア周辺諸国間の関係として捉えられる)
7:渤海が日本に対して舅甥関係を表明したのは、渤海が渤日関係を君臣関係と認識していなかったことを示す - 特徴・オリジナリティ
- 従来の「東アジア世界論」にとらわれることなく、東アジア全体での日本外交の位置を探ろうとしたことは新しい視点であると思う。だが逆に、日本史の論文にも関わらずまるまる1章東洋史の範囲を扱うなど、かなりの問題作ではあった。親族関係を扱ったのも新しい視点である(専論は1本しかない)。しかし国家間と個人間のものの差や、時代による差など親族関係について誰もが納得する論にはならなかった。あとどうでもいい特徴として、注が本文を上回ったとか、田中芳樹「アルスラーン戦記」の元ネタとおぼしきアルスラーン王が登場するなど話題には困らない卒論でした。
- 大学・専攻
- 国立 名古屋大学 日本史学
- タイトル
- ガイウス=ユリウス=カエサル
- 分野
- 古代ローマ史
- 概要
- ローマ帝国の祖,新しいヨーロッパと地中海の創造者ユリウス=カエサルは,欧米諸国では,あるいはクレオパトラの愛人として,あるいはブルータスに刺された悲劇の英雄として,あるいは共和政を倒した暴君として,非常に有名な人物である。有名なだけでなくシェイクスピアの戯曲やハリウッドの映画などでも何度も取り上げられる,非常に「大衆的な」人物でもある。日本でいえば,信長と秀吉と家康を足したような男か。しかし,日本ではカエサルのことが取り上げられることは余り多くない。そこで,ここではその稀有の歴史上のヒーローを,日本人の立場から「太閤記」的に描いてみた。すなわちこの論文が目指したものは,ただ学術的な正確さだけではなく,人間としてのカエサルの魅力である。いわば歴史論文と伝記の中間を狙ったものともいえようか。卒論では(特に外国の人物や事柄を扱ったものでは)何か新事実を発見するということは非常に困難なことである。それを補うものは「想像力」ということになろう。その意味で,本論文は「目の前にカエサルが見えてくる」ということを主眼として書かれている。本論文では,(1)軍人カエサル(2)政治家カエサル(2)人間カエサルの3つの視点からカエサルに切り込んでいる。そこから見えてくるものは・・・まさに圧倒的な魅力を持つ"The Man of the History"である。
- 特徴・オリジナリティ
- 本論文はただの歴史論文にとどまらず,いわば「文学的」あるいは「ジャーナリスティック」な切り口で古代ローマの英雄のことを語っている。そのため読者は,きちんとしたレベルを保った歴史論文でありながらあたかも映画のシーンを見るように,主人公の人となりを垣間見ることができる。その意味でも非常にユニークな論文ということができるだろう。
- 大学・専攻
- 早稲田大学 西洋史学
- タイトル
- 上毛民権運動の諸相ー群馬事件の社会的背景とその激化過程の検討
- 分野
- 日本近現代史
- 概要
- 群馬事件は、周知のとおり明治十年代の自由民権運動末期の激化事件の一つである。従来、その概要を知りえた史料は自由党史や東錘民権史であった。一方、群馬事件を秩父事件へ連なるものとして初期困民党、借金党の農民運動として見ていく立場がある。私は、地方史研究に運動論を追い求めるだけでなく、社会的背景の中で、事件像を追い求めた。
- 特徴・オリジナリティ
- 従来、良くある運動論を、裁判記録などに依拠して述べるだけでなく、もっと地域構造の経済分析から[なぜ、西毛養蚕地帯という典型的な畑作地帯に激化諸事件は起きたのか?」という分析をおこなった所にある。
- 大学・専攻
- 国公立-埼玉
- タイトル
- 西欧中世における色彩について~黄色にみる社会
- 分野
- 史学
- 概要
- 色彩とは文化的事象であり、その意味、役割は社会によって規定されるものである。西欧中世において色彩の使用は社会を支配するための手段としての必要性と、染色技術の進歩が複雑に絡み合って決定されるものであった。そして象徴的意味を付与された色彩は、社会において言葉としての機能を持ち、大きな役割を果たしていた。その中で黄色が忌み嫌われ続けたのは、社会が必要としなかったからであると考えられる。
- 特徴・オリジナリティ
- 題材と結論が独特
- 大学・専攻
- タイトル
- 藤井寺市と修羅
- 分野
- 考現学
- 概要
- 1978年に大阪府藤井寺市の三ツ塚古墳から発掘された古代の重量運搬具である木製の大小2つのソリ『修羅』は、新聞により大々的に報道されて非常に有名になった。発掘から約20年を経た今、修羅のことは世間的には忘れられている赴きもあるが、藤井寺市には修羅に関連するものが多数あり、市民には大変親しまれている。しかし、多くの年月を費やし保存処理を終えた後、小修羅は藤井寺市立図書館で保存・展示されているが、大修羅は、出土地である藤井寺市に戻ることはなく、大阪府南河内郡河南町と太子町にまたがる地域に建設された「大阪府立近つ飛鳥博物館」に保存・展示されている。このような状況をふまえ、藤井寺市にとって修羅とはどのような存在であるか、この視点で修羅をみつめたのが、本論文である。
- 特徴・オリジナリティ
- 今までに、考古学という視点で捉えられる事が多かった修羅を、考現学の視点から、また藤井寺市とのかかわりという視点からとりあげました。
- 大学・専攻
- 京都精華大学 人文学科
- タイトル
- J.S.ミルの自由論研究
- 分野
- 倫理学分野
- 概要
- 人間が生きていく上で一番高次の欲求とは自由の実現である。他の物質的・社会的欲求が満たされた後、人間はさらに高次の欲求として、自ら人間的に成長したいとか、社会的に役立つことをしたいとか、何か自分で価値があると思う活動をしたいという欲求をもつ。この欲求とはミルによれば、自由が確立され、促進することによって人間は知的、道徳的に一層進歩する。この人間における精神的向上は個々の人間の不断の努力とそれを保証する社会の進歩が必要なのである。
- 特徴・オリジナリティ
- 確実に永続的に人それぞれが進歩していくためには自由はなくてはならないものである。ミルは人間の自由として思想の自由、嗜好と職業の自由、団結の自由を上げている。これらの自由が人間にとって必要であるのは人が自発的に活動するためであって、すなわち、人の幸福と個性の発展につながっていく。
- 大学・専攻
- 国公立-京都府 哲学科
- タイトル
- 現代における宗教の意義~明治期日本の宗教意識の変遷をたどって~
- 分野
- 哲学
- 概要
- 明治期日本の思想をたどって、宗教のあり方の変遷を鳥瞰する。そこから現代社会における宗教への態度を考察する。
- 特徴・オリジナリティ
- 誰か一人の思想を考察するのではなく、自分の考えに沿って著作を選び、テーマについて論じた点。
- 大学・専攻
- 哲学科